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2022.07.12
企業が海外進出を成功させるには?メリット・デメリット、手順を詳しく解説
日本では少子高齢化や人口減少が進んでいますので、海外進出を考えている企業も多いのではないでしょうか。
しかし、海外進出の壁は高いので、質の高い日本製品を扱っているからと言って必ずしも成功するわけではありません。
そこで今回は、企業が海外進出するメリットや注意点、手順などについてご紹介します。
目次
企業が海外進出をするメリット
企業が海外進出をする理由は、新たな市場を求めたり、生産拠点を海外に置いてコストを削減したりするなどさまざまです。
海外進出によって得られる代表的な4つのメリットについてご紹介します。
1.海外の顧客を獲得できる
2.ビジネス規模を拡大できる
3.コストを削減できる
4.新商品・新規事業の開発につながる
一つずつ見ていきましょう。
海外の顧客を獲得できる
海外進出のメリットの一つが、海外の顧客を獲得できる点です。
コロナ禍前の訪日観光客の爆買いからも分かるように、日本製品やサービスは海外で人気が高いです。
近年はSNSや動画配信サービス、越境ECの拡大もあり、ますます日本製品は身近なものとなっています。
国内の市場状況が縮小傾向にあることを考えると、海外の顧客を獲得するのは企業にとって利益拡大のチャンスと言えるでしょう。
ビジネス規模を拡大できる
海外進出は、企業にとって顧客を世界に増やすチャンスです。
日本の人口は2011年から減少し続けており、2060年には約8,600万人にまで落ち込むと推測されています。
一方で、国連の「世界人口予測」によると、インドやエチオピア、エジプトなどでは、2050年まで人口が増加していくと予測されています。
人口減少に伴い国内の市場規模は縮小する日本では、需要が減少して他社との競争はより一層激しくなるでしょう。
しかし、海外に目を向けると製品によってはブルーオーシャンである地域もありますので、海外に販路を拡大できれば売上アップが期待できます。
新商品・新規事業の開発につながる
現地の文化や生活などを知ることでアイデアが浮かび、新たな商品や新規事業の開発につながる可能性があります。
また、海外で得たノウハウを日本国内で生かすことができ、海外事業だけでなく国内事業にも良い影響を与えられるかも知れません。
企業が海外進出をするデメリット
コスト削減や新たなビジネスチャンスを生み出せる海外進出ですが、以下の5つの注意点も押さえておく必要があります。
1.為替変動により売上が減る可能性がある
2.異なる文化・言語・商習慣に対応しなければならない
3.情報収集に手間がかかる
4.カントリーリスクが常に存在する
5.国際取引は規制が多い
一つずつ確認していきましょう。
為替変動により売上が減る可能性がある
大きな為替変動が起こると、利益が出ていても損失になってしまうリスクがあります。
海外でビジネスを行っていると、為替変動リスクを常に背負っている状態になりますので、為替相場には注意しておかなければなりません。
そのため、事前に予約しておいた相場で売買できる「為替予約」などを活用して、対策を講じることをおすすめします。
異なる文化・言語・商習慣に対応しなければならない
国や地域によって文化や商習慣、そして言語が異なります。
そのため、日本では当たり前だった常識が相手国では失礼にあたる場合もあります。
相手国に全て合わせる必要はありませんが、自社製品・サービス独自の長所は残しつつ、現地に合わせられるところは見極めなければなりません。
また言語は、相手国の人とコミュニケーションを取るための重要なツールです。
国によっては英語が通じない場合もあり、さらに地域によっては方言が使われる場合もあります。
現地の言葉が分からなければ、書類作成や取引、スタッフ教育などさまざまな場面で苦労しますので、言葉の壁をクリアする方法を考えておきましょう。
情報収集に手間がかかる
海外進出には現地の情報収集が必要不可欠です。
しかし、海外での情報収集を自力で行うとコストも時間も多大にかかります。
そのため、情報収集などは、プロのサポートを受けながら行うと良いでしょう。
カントリーリスクが常に存在する
カントリーリスクとは、相手国の政治や社会経済の変化によって企業がリスクを受けることです。
たとえば、政権交代による制度の変更や戦争、自然災害などがあります。
特に、発展途上国や新興国ではカントリーリスクが起きやすいことに留意しておかなければなりません。
国際取引は規制が多い
国ごとに規制や法制度は異なります。
国によっては新規参入が難しい事業もあり、飲食店の場合は外資比率の規制によって出店が厳しいこともあるのです。
規制により進出のハードルが高くなっている場合もありますので、場合によっては参入できないケースもあります。
企業が海外進出をする流れ
ここでは、海外進出をする際の流れをご紹介します。
1.海外進出計画を策定する
2.情報収集・市場調査をする
3.現地視察をする
4.予算計画を策定する
5.資金調達をする
6.現地に会社を設立する
順番に説明していきますので、ご覧ください。
①海外進出計画を策定する
まず、海外進出の目的を改めて確認します。
「他社が進出しているから」「流行っているから」などの理由では、根拠の薄い目的となってしまいます。
海外進出の目的は、販路の拡大や市場開拓、生産コストの削減などさまざまです。
日本国内では他の方法で売上アップにできないのか、企業の課題を海外展開で解決できるのかを明確にしなければなりません。
また、進出形態も決める必要があります。拠点の形態は主に以下の3つです。
①現地法人⋯⋯本社とは独立した相手国の法人です
②海外支店⋯⋯本社が海外で営業する拠点であり、本社と海外支店は同一経営にあります
③海外駐在員事務所⋯⋯相手国での営業活動は行えず、市場調査や本社との連絡業務を果たす拠点です
それぞれのメリットとデメリットがあるので、進出計画で考えておきましょう。
ターゲットとなる国は、法規制やカントリーリスク、労働者の質や物流などの要件を踏まえて決定します。
②情報収集・市場調査をする
情報収集では、主に相手国の国内調査と市場調査を行います。
国内調査では、進出先の政治・社会環境、ビザや労働環境、税制など、海外進出のために必要な情報を集めます。
法規制や会社設立の方法などの情報収集を一から始めるのは難しいため、海外進出を支援する専門家やコンサルタントを活用するのがおすすめです。
また、自社の製品やサービスが相手国に適しているかを調査します。
生活習慣や文化に合っているのか、あるいはニーズがあるかなどを考えて展開する必要があります。
③現地視察をする
現地の状況を実際に確認したり、国内調査で得た情報を再確認したりするために現地視察を実施します。
たとえば、相手国の展示会に出店することが、自社製品の需要や反応を知るための方法としてよく用いられます。
相手国の政府窓口機関で必要書類を確認したり、仕入れ先候補の企業や売場を調査したりするなど、国内調査では得られない細かいポイントを確認しましょう。
④予算計画を策定する
利益を達成するための売上目標や必要経費などの予算計画を立てます。
いつまでにどのくらい達成するのかを、年間・月次⋯⋯というように中長期的な予算計画を策定しておきましょう。
⑤資金調達をする
事業計画がどれだけ素晴らしくても、資金がなければ海外展開は厳しいでしょう。
資金調達の方法は、専門機関や国からの補助金、銀行の融資などが挙げられます。
海外でのビジネス展開はお金がかかるため、メリットが多く利用可能な資金調達方法を探す点が大切です。
⑥現地に会社を設立する
現地では、「現地法人」「海外支店」「駐在員事務所」などの形態で会社を設立します。
いずれも法人登記や手続きが必要ですが、会社設立に関する手続きは複雑な上に相手国の言語で記入しなければなりません。
相手国の方法に合わせる必要もあるため、登記代行会社に依頼するのが一般的です。
海外進出を成功させるためのポイント
海外進出は、さまざまな面においてハードルが高いです。それでは、成功させるためにはどのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。
1.現地の事情に精通した専門家のサポートを受ける
2.自社の強みを整理し、前面に打ち出す
3.現地の顧客ニーズやトレンドを徹底的に分析する
4.補助金や支援制度も活用する
これら4つのポイントを見ていきます。
現地の事情に精通した専門家のサポートを受ける
現地を知らずに、自社だけで海外進出を進めるのは困難です。
そのため、相手国の文化や市場に精通した専門家のサポートを受けるのがポイントです。
「日本貿易振興機構(JETRO)」「中小機構」などの機関や、海外進出を支援する企業に依頼して、海外でのビジネスについて相談しておきましょう。
海外進出の基本的事項から現地調査、設立までサポートしてくれますので、専門家の支援を受けながら効率良く海外進出を進められます。
自社の強みを整理し、前面に打ち出す
自社の強みが何であるかを整理してアピールします。
ブルーオーシャンの地域に参入しても、自社のオリジナリティがなければ、他社の参入でたちまちレッドオーシャンになる可能性もあります。
自社にしかない技術や品質の高さ、製品のバリエーション、アフターフォローなど、自社の強みを打ち出して現地の人の心をつかみましょう。
現地の顧客ニーズやトレンドを徹底的に分析する
海外進出で失敗する原因の一つが、「日本で売れているものを海外でそのまま売る」という考えです。
海外では日本と生活スタイルや好みが当然異なるため、現地のニーズやトレンドに合わせなければ受け入れてもらえない可能性があります。
たとえば、パッケージのデザインだけでも国ごとに好みは異なります。
自社製品に自信を持つのは良いことですが、市場拡大のために海外進出するのであれば、現地の顧客や市場を分析・把握して相手国に合わせることが求められます。
補助金や支援制度も活用する
海外進出のためには費用がかかり、現地でビジネスをするためのノウハウも必要です。
右も左も分からないまま海外進出するよりも、補助金や支援制度を活用する方が効率的です。
海外進出を支援する補助金やサービスは、行政機関などを活用しましょう。ここでは、補助金や支援制度の一部をご紹介します。
・経済産業省「コンテンツ海外展開促進・基盤強化事業費補助金(J-LOD)」
・中小企業庁「JAPANブランド育成支援事業」
・日本貿易振興機関(JETRO)の海外進出支援サービス
・日本台湾交流協会「日台産業協力架け橋プロジェクト」「日台スタートアップ・エコシステム強化事業」
ほかにも、自治体や政府系金融機関、財団などの支援制度があるので、自社に合った制度を活用しましょう。
まとめ
企業の海外進出は決して容易ではありません。
しかし、支援制度を活用しながら現地調査を行えば、販路拡大や海外顧客の獲得などで大きな利益を得ることができます。
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