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2022.07.12
日系企業が台湾に進出するメリット・デメリット、成功へ向けた戦略を徹底解説!
台湾は東南アジアや中国に通ずる文化を持ち、日本から飛行機で約4時間と抜群のアクセスを誇ります。
初の海外進出先、または東南アジア・中国進出の足がかりとして、台湾をお考えの企業様も多いのではないでしょうか?
台湾は法人税率が低いだけでなく、日系企業が進出しやすいさまざまな条件が整っています。
進出の是非を正しく判断するために、台湾のメリット・デメリットを知っておきましょう。
今回は、日系企業が台湾に進出するメリット・デメリット、そして成功へ向けた戦略を解説します。
目次
台湾の経済情報
台湾は人口約2,340万人、面積36,000㎢と九州よりやや小さめの島国です。
直近3年間の経済情報については、以下をご確認ください。
【台湾の経済情報】
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
GDP | 18,908.63 | 19,798.60 | 22,124.70 |
経済成長率 | 3.06% | 3.36% | 6.28% |
輸出 | 331 | 345 | 446 |
輸入 | 287 | 287 | 381 |
卸売物価指数 | 102.20 | 94.24 | 103.16 |
消費者物価指数 | 102.55 | 102.31 | 104.32 |
失業率 | 3.73% | 3.85% | 3.95% |
※金額は全て10億USドル換算
台湾経済は2010年に10.25%という高い伸びを見せた後は、10年ほど停滞していました。
しかし、世界的に半導体不足が顕著になったことで、台湾の強みである半導体の生産が大きく伸び、2021年には再び6.28%という高い数値を記録しています。
台湾の市場規模と将来性
台湾は九州より少し小さめの島国であり、既にある程度の発展を遂げています。
その上、少子高齢化が進んでいますので、急激な市場成長は見込めないでしょう。
ただし、それはあくまで他の発展途上国と比較しての話であり、将来性が低いわけではありません。
例えば、近年ではEC市場が大きな伸びを見せていることから、多くの日系企業の注目を集めています。
台湾への進出で成功を収めている業界
台湾には、既に多くの日系企業が進出を果たしています。
成功を収めている主な業界としては、以下のものが挙げられます。
・小売業
・飲食業
・電子部品製造業
・金融・保険業
・建設業
・機械製造業
特に小売業の成功は、デパートやコンビニエンスストア、ファッション・雑貨店など多岐にわたります。
日系企業が台湾に進出するメリット
日系企業が台湾に進出するメリットとしては、以下の5つが挙げられます。
・日本との距離が近い
・親日国家である
・日系企業が進出しやすい環境が整っている
・法人税率が20%と低い
・中国や東南アジアへの進出を見据えた戦略を立てやすい
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
日本との距離が近い
東京から台湾の首都・台北(タイペイ)へは、飛行機で約4時間しかかかりません。
名古屋・大阪からであれば約3時間、九州からなら約2時間半で到着します。
距離が近い分、人や物の移動が早く、コストもかかりません。
コストを抑えた海外進出が叶う他、進出先でのトラブルにも対応しやすいでしょう。
親日国家である
1895年から1945年までの50年間、台湾は日本政府により統治されていました。
その間に日本が行ったインフラ整備や学校教育、農作物の品種改良などは経済を活性化し、台湾の近代化を推し進めたと言われています。
そのため、台湾は非常に親日的な国家であり、多くの国民が旅行で日本を訪れたり、日本語を勉強したりしています。
文化的に通ずるところがある他、日本の企業・商品というだけで好感を持たれることも少なくありません。
警戒心を解く必要がない分、日系企業はビジネスが進めやすく、スタートアップに適しています。
日系企業が進出しやすい環境が整っている
台湾は日本からのアクセスが良い親日国です。
これまでも多くの日系企業が進出してきたため、日系企業向けのサービスも整っており、ゼロから環境を作り上げる必要がありません。
他の国よりも進出しやすく、リスクも少ないと考えられます。
また、林口新創園や台湾テックアリーナ、亜湾新創園といったスタートアップテラスが充実しており、賃貸料の割引や資金援助、コワーキングスペースの提供など、さまざまな支援が受けられます。
スタートアップを狙う企業にとっても、良い環境が整っていると言えるでしょう。
法人税率が20%と低い
日本の法人税率は30%ですが、台湾の法人税率は12万台湾元以下なら免税、それ以上でも20%しかかかりません。
日本より多くの金額が手元に残るため、ビジネスを拡大させやすく、企業のスタートアップにうってつけです。
中国や東南アジアへの進出を見据えた戦略を立てやすい
台湾は日本に近い親日国ながら、東南アジア・中国の影響を受けた国でもあります。
東南アジア・中国に強い人材を確保しやすい他、東南アジア・中国のテストマーケティング先としても申し分ありません。
東南アジア・中国進出の戦略を立てやすく、事前の足がかりとしても良い進出先と言えます。
日系企業が台湾に進出するデメリット・注意点
日系企業が台湾に進出するデメリット・注意点としては、以下の4つが挙げられます。
・少子高齢化が著しい
・爆発的な市場成長はあまり見込めない
・英語・日本語を話せる人が限られている
・中国や香港とは区別して考える必要がある
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
少子高齢化が著しい
CIAが発表した「2021年の国・地域別の合計特殊出生率予測」によれば、日本の合計特殊出生率は1.38、台湾の合計特殊出生率は世界最低の1.07です。
台湾は日本よりも早く少子高齢化が進んでおり、生産性の低下による経済の停滞が予想されます。
爆発的な市場成長はあまり見込めない
台湾は人口・面積ともに日本より小さく、また既に高度な発展が行き渡っています。
そのため、今後爆発的な市場成長を遂げる可能性は、かなり低いと言えます。
ただし、それはあくまで人口・面積の大きい国や発展途上国と比べての話です。
現在でもECや半導体分野は大きく伸びており、ビジネスによっては十分な成功が見込めるでしょう。
英語・日本語を話せる人が限られている
台湾の公用語は中国語であり、英語の普及率はそれほど高くありません。
また、親日国であることは間違いないものの、日本語が堪能な人材は限られます。
そのため、英語・日本語が堪能な人材を探すのは難しく、雇用の維持にはそれなりのコストが見込まれます。
中国や香港とは区別して考える必要がある
台湾は文化的にも中国や香港と通ずる部分が大きく、中国進出のテストマーケティングとして最適です。
しかし、台湾と中国、香港はあくまで別の国であり、一部の環境は大きく異なります。
例えば、台湾のネット環境は日本とほぼ同じですが、中国のネット環境は独自の発展を遂げています。
台湾を中国進出の足がかりとするならば、両国をあまり混同しすぎず、適切に区別して考えねばなりません。
日系企業が台湾に進出する流れ
日系企業が台湾に進出する流れは、以下のとおりです。
①台湾進出の目的・進出形態・行程などを明確にする
②台湾で情報収集・市場調査をする
③実際に台湾を視察する
④予算計画を決め資金調達をする
⑥台湾に会社を設立する
特に情報収集・市場調査は、台湾進出の成功を左右する重要なポイントです。
台湾に詳しい専門家の手も借りながら、正しい結果を十分に得られるようにしましょう。
海外進出を成功させるためのポイント
海外進出を成功させるためのポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
・台湾の事情に精通した専門家のサポートを受ける
・台湾の顧客ニーズやトレンドを徹底的に分析する
・台湾の市場における自社の強みを整理し、前面に打ち出す
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
台湾の事情に精通した専門家のサポートを受ける
海外進出には、入念な情報収集と市場調査が欠かせません。
しかし、それらを十分に行うには相応のコストと時間がかかります。
また、慣れない土地での活動になりますので、正確性を欠くこともあるでしょう。
台湾の事情に精通した専門家のサポートを受ければ、時間とコストの両方が節約できる上、誤った結果を得るリスクも下げられます。
台湾の顧客ニーズやトレンドを徹底的に分析する
台湾は親日国であり、文化的にも日本と通ずる部分が多くあります。
しかし、あくまで別の文化を持つ海外の国であり、顧客ニーズが日本と似通っているとは限りません。
また、台湾はネットやITが発達していることから、突然トレンドやニーズが変わることも考えられます。
台湾進出を成功させたいならば、台湾独自の顧客ニーズやトレンドを徹底的に分析しておきましょう。
台湾の市場における自社の強みを整理し、前面に打ち出す
顧客に訴えかける自社ならではの強みがなければ、同業他社との競争には勝ち残っていけません。
台湾進出においても日本国内と同じく、自社の強みを前面に打ち出していきましょう。
このとき注意したいのが、「台湾の市場における」自社の強みを打ち出す点です。
台湾はあくまで別の文化を持つ海外の国ですので、顧客ニーズが日本と同じとは限りません。
日本での強みが通用しなかったり、逆に意外なポイントが強みになったりと、これまでとは違う展開もありうるでしょう。
まずは台湾独自のニーズやトレンドを分析し、その上で自社の強みを整理してください。
台湾市場にあった強みを前面に打ち出せれば、成功の可能性は大幅に上がるはずです。
まとめ
台湾は日本との距離が近く、移動の時間やコストがそれほどかかりません。
親日国家ということもあり、多くの日系企業が進出に成功してきました。
前例が多いため比較的進出が簡単である他、法人税率が20%と低く設定されているのも大きな魅力です。
ただし、台湾は既に高度な発展が済んでおり、少子高齢化も進んでいるため、今後爆発的な市場成長は見込めないでしょう。
そのため、台湾進出にあたっては、徹底したニーズ・トレンドの調査、それに基づく自社の強みの打ち出しなど、ポイントを押さえた行動が求められます。
エスビージャパンはグローバルな視点から地域の活性化を後押しする会社であり、台湾での観光プロモーションや企業の海外展開、越境EC、マーケティングなどをサポートしております。
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